ストーリー評価
実在する見習い警察犬と見習い訓練士の話を映画化するということで、
どれだけストーリーが実在のものとリンクできるのか、
また、どれだけ映画としてのストーリーが作られるのか、
観る前からそこが大変気になっておりました。
あまり忠実に作られてもドラマ性が乏しくなるでしょうし、
かといって映画用に派手なフィクションばかり散りばめられても“きな子”を題材にする意味がなくなってしまうでしょうから…。
結果を言いますと、
フィクション、ノンフィクション、どちらもバランスよく散りばめられていて、
とても上手に作ってるなぁ〜と感じました。
元々ズッコケ見習い警察犬としての個性的なキャラ設定を持ち合わせていたきな子ちゃんなので、それだけで充分ストーリーは作れそうですが、そこは映画前半部分に充分投入され、よくある可愛らしい犬映画の要素が無駄なく盛り込められていました。
ただその中でも、やはり警察犬訓練士としては見習いの杏子の成長する姿も映画では描かれています。
訓練士の能力の成長というよりは、心の成長です。
これは、扱ってる相手が警察犬という枠にとどまらずに見ることができるテーマで、
見ている人誰もが、そばにいる相手、つまりペットや家族、友達などに当てはめて、
「相手を思いやる」という部分で自分に問いかけられるストーリー作りになっています。
映画後半においては、おそらく実話にはないであろうオリジナルストーリーで作られています。
これもドッグトレーナーの宮忠臣さんの素晴らしいお仕事ぶりが伺えるシーンが満載です。
ただ話の展開が、2007年公開の犬映画「マリと子犬の物語」をなぞったようなものだったのが少々残念でした。
たしかにこういう展開になれば後半の盛り上がりは形よく収まるでしょうが、あまりにも展開が似すぎていたため興ざめしてしまう部分もありました。
これには正直、製作側の“守り”の姿勢を感じてしまい残念でした。
全体的には、外してる部分はなく、家族全員で見られる良い映画だと思います。
ストーリーの評価は、
★ ★ ★ ☆ ☆
星3つとさせていただきました。
キャラクターの評価
とにかくどのキャラも立っていて素晴らしかったです!
ドジだけど一生懸命な杏子。夏帆さんの配役が本当によく合ってました。
無骨だけど信頼できる所長。
男の子だけど料理が上手でしっかりものの圭太君。
幼いながらも大人に全然媚びなくて生意気な新奈ちゃん。
優秀だけれども、警察犬訓練士の仕事と実家のうどん屋を継ぐことの狭間で悩まなければいけない先輩訓練士。
警察犬訓練所にいながらも、アイドル的な存在で飼われている小型犬。
一度の映画で終わってしまうには大変残念なキャラクターたちです。
映画第2弾とは言わず、ぜひテレビの2時間スペシャルのような形でもシリーズ化していって、みんなの姿を見ていきたいものです♪
キャラクターの評価は、
★ ★ ★ ★ ★
星5つです。
オリジナル性の評価
警察犬を扱うテーマというのは珍しいですよね。
しかも、ズッコケ見習い警察犬…(笑)。
これだけで他の映画では見られない独自性を感じます♪
実在のきな子ちゃんが活躍してる香川県をちゃんと舞台に選んでるところも、のどかさが出ててとても良いと思います。
犬映画はたくさんありますが、見習い警察犬と見習い訓練士の絆をテーマに据えてるところは大変オリジナリティーを感じました。
ただ、ストーリーの評価でも書きましたが、
後半のクライマックスシーンが他の犬映画と似すぎていたため、そこは自分的に減点対象になってしまいました。
オリジナル性の評価は、
★ ★ ★ ★ ☆
星4つです。
インパクトの評価
インパクト、話題性でいうと、特に衝撃を受けるような性質の作品ではないので、評価の対象にならない感じもします(悪い意味ではなく)。
ズッコケ犬ではありますが、きな子は実在する普通のラブラドール・レトリバーで、空を飛べるわけでもなく人間の言葉をしゃべるわけでもありませんしね(笑)。
見習い訓練士の杏子も、特別に何かの能力に長けたキャラクターでもありません。
出演する俳優さんたちも、特に目新しかったり話題性のある方はいませんし、かといって、どうしようもない俳優さんが出てるわけでもありません。
時代的に3D映画が増え始めてる時期ですが、「きな子」は3D映画でもありませんし、3Dにする必要もありません(笑)。
しかしこれらがすべてマイナス要因というわけではなく、いい意味で言って、
“安心して観られる”という映画です。
お知り合いと映画の話になった時、
「ねえねえ!きな子観た!?観た!?」
という風な話題ののぼり方ではなく、
「きな子ちゃん、可愛かったよぉ〜♪」
という風に、どこかほんわかして話題が弾むようなそんな雰囲気の映画だと思います。
インパクトの評価は、
★ ★ ★ ☆ ☆
星3つとさせていただきます。
以上を踏まえまして、
総合評価は、
★ ★ ★ ☆ ☆
星3つとさせていただきました。
※この評価はあくまでも個人的な好みによるものですので、それぞれ皆さんの判断で鑑賞していただければと思います。